工房の紹介-vol 2 -ベルトができるまで-

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前回はお店でのベルト購入までの流れを紹介しましたが、今日は一枚革から1本のベルト用ストライプがお店にやってくるまでの工房での作業の流れを簡単にご紹介します。

まず初めに、ベルト用ストライプと言っても、色々な種類のレザーがありますので、今日は一番オーソドックス(シンプル)なハードレザーのベルトの加工についてお話します。

そもそも、工房で扱っているレザーのほとんどはイタリアから仕入れており、発注した革は1パレットで届きます。

工房の入り口にドサッと届くと全員総出で、作業場内の棚に収納するのですが、1枚の革の大きさは身長165cmの私が両手を大きく上に広げて持ち上げるのがやっとの大きさ・・・私は1枚ずつ運ぶのがやっとですが、私以外は皆ヨーロピアンの男性陣なので、一人2,3枚を軽々持ち上げてサッサと運びます。
毎回この場面では私は、親のやってることをまねては「私もやるー!」と言ってる3歳児の子供のようにほとんど役立たずで、おじさま方の笑いを取ってるような状態です。

話しをベルトに戻しますが、そもそも牛革のハードレザーの場合、ベルト用にはちょうど首筋から背中部分の革を使用しており、腹部の部分は使用しません。

首から背中にかけての革の方がお腹部分の革より硬くしっかりしているため、ベルトのような強度を必要とする製品の材料としてとても適しています。逆に腹部の部分は背中部分に比べよりソフトで柔軟性があるため、靴などに使用されることが多いようです。

1枚革を見ると本当に首の周辺などは皺が多く寄っていたり、凸凹が多いなど、見た目にも明らかです。

では、ざっとですが、作業工程をご紹介します。

1.一枚革を指定のベルト幅に裁断。(工房には革の裁断をできる機械がありますが、ローラー状の芯に指定の幅にナイフをセットし、ミシンのような要領でフットペダルを踏みながら裁断します。)

2.次に、裁断した棒状の革の両サイド(裁断面)を専用の機械で、裁断面が丸みを帯びるようにカットします。このとき、同時に革の先端を触り、より強度のある方、また傷や汚れのない方を(Tip)尖った先端にするか感覚で判断します。

この機械はそれぞれ逆方向に回転させた上下2つのローラーの間に革巻き込ませ、その両サイドにV字状の鋭いナイフをセットすることで革の表裏面両側から裁断面の角を削り落とします。このとき、ナイフの上下の角度、左右の幅が均等でないと、後のカラーリングの工程で塗りムラができてしまうため、とても繊細で経験を必要とする作業ですので通常はベルト加工担当の職人のみが行っています。

3.Tip(先端部分)を裁断機でカットして尖った先端を作ります。裁断するとこのようになります↓

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4.裁断面はそのままではとてもシャープで手触りも荒いので円盤状のストーンを高速回転させて、裁断面を微量に削り、(やすりで磨くような感覚です)角を丸く、手触りも滑らかにします。(このときも、表と裏の削り具合が均等になるように加工します)加工後はこのようになります↓

 

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5.Tipから両サイドすべての裁断面をカラーリング液で染めます。カラーリングは2度に分けて、裁断面上部、下部とカラーリングします。その後、ムラがないかチェックし、(最初にお伝えしたように、クビの部分など、部位によっては皺が多く寄っているなど、通常の工程のみでは簡単に染まらない部分があるため)足りない部分のカラーリングをします。↓(革の色が最初の2枚と違いますが、同じ種類のハードレザーです)

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6.Tip部分は高温(180℃以上)のプレートで艶出しし、カラーしたサイド部分を円盤状のブラシを付けた機械で、より滑らかにポリッシュします。

7.革裏面にお店のロゴをスタンプ。

8.ローラーに通し、よりしなやかさを出します。

9.最後にTipと反対の先端部分に丸い穴をあけ、リングに通して同じ革、幅ごとに吊るして保管。

↓写真左側のように、工房でも店内でも様々な種類(幅、カラーなど)ベルト用ストライプをお選びいただけます。

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以上、ざっとですが、簡単にベーシックなハードレザーの工房での加工工程をご紹介しました。

他にも2枚革を加工しているものなど、色々なレザーの加工方法や、お店でのベルトのfinishing 作業などおいおいご紹介しますのでお楽しみに!

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